平成19年度専門職大学院等教育推進プログラム

発達障害と心身症への支援に強い教員の養成
−文化教育学部・医学部附属病院連携による臨床教育実習導入とカリキュラム開発−

 1)佐賀大学のビジョンとしての本取組
 2)本取組までの経緯
 3)「特別支援学校の教員養成の充実」で申請をする理由
 4)具体的な取組
 5)実施体制(評価体制含む)
 6)この取組に対する評価方法


取組の概要


 佐賀県では、発達障害や心身症のある児童生徒への対応や指導が学校の教育課題となっている。文化教育学部はこの教育課題の解決に貢献するため、医学部附属病院との連携のもと、発達障害や心身症のある児童生徒対象の臨床教育実習をコアとするカリキュラムを開発することによって、これらの状態についての医学・心理・教育の高度の知識に加え、質の高い対応力と指導力をもった特別支援学校や通常の学校の教員の養成を目指す。


取組の内容及び実施計画


1)佐賀大学のビジョンとしての本取組

 本取組は、佐賀大学中期計画「統合によって拡充した領域を活かした医文理融合型の学際的教育課程の創造を図る。」を実現するものである。また、同「学習の効率化と教育成果の向上のために、学士と修士のカリキュラムの連続性を検討し、実現を図る。」を受けて策定された教育学研究科の平成19年度計画「教育実習を中核とした学部・大学院を通した教育実習の高度化プログラムを策定し、実施する。」の具体化を図るものである。
この取組は、教員養成学部と医学部のある総合大学が、そのメリットを活かし、文化教育学部と医学部附属病院との連携を基軸に、教員養成学部・大学院の発展の方向性を探ろうとするものであり、全国的にも特色のある新しい教員養成の試みである。

2)本取組までの経緯

 文化教育学部は、平成16年度より学部教育実習の改革(高度化)に着手し、平成17年度教員養成GPに申請した(取組名称:「学部・大学院を通じた教育実践探求力の形成」)。それに引き続き、平成18年度より大学院教育実習の試行的導入を開始し、平成18年度教員養成GPに申請した(取組名称:「大学院教育実習『佐賀プラン』の構築」)。さらに平成18年度から発達障害領域においても大学院教育実習を試行した。今回は、以上の実績の積み重ねのもと、発達障害や心身症対象の学部・大学院教育実習に特化して申請するものであり、「臨床教育実習をコアとする学部・大学院連携カリキュラム」の開発を目指している。

 一方、文化教育学部は文化教育学部附属教育実践総合センターを中心に、平成15年度以降、下記の発達障害関係の取組を段階的に進めてきた。

○第1ステージ(H15〜16年度):発達障害についての地域的な理解推進事業等の開始
・H15.11:連続講座「LD(学習障害)など軽度発達障害をもつ子どもへの家庭及び学校での対応」を開催し、報告書を佐賀県下の学校に配布した。
・H16.10より:佐大学習会(学習障害・困難の中学生対象の個別の学習指導)を開始し、平成18年度までに、中学生延べ48名を支援した。
・H17.1:講演とシンポジウム「明日を拓く教育講演会 地域や学校で特別支援教育体制づくりをどのように進めるか」を開催し、報告書を佐賀県下の学校に配布した。

○第2ステージ(平成17〜18年度):医学部附属病院との連携体制整備
・H17.6:「佐賀大学 発達障害支援・研究プロジェクト」の立上げ
・H17.12:講演会「医学的視点から見た発達障害−医師にできること、できないこと-」
・佐賀大学教育セミナーの開始(平成18年度は4回実施)
・『発達障害の支援と研究』の創刊と発行(H17、18年度各1回)
・発達障害大学院教育実習の試行的導入(H18年度)

○第3ステージ【現在】(平成19〜20年度):カリキュラム開発
臨床教育実習の導入とそれをコアとする、障害及び教育相談に関する学部と大学院のカリキュラム開発

○第4ステージ(平成21年度以降):新カリキュラムへの移行
「臨床教育実習をコアとする学部・大学院連携カリキュラム」への年次移行の開始

3)「特別支援学校の教員養成の充実」で申請をする理由

(1)地域の教育課題への対応−佐賀県公立学校の教育課題としての発達障害と心身症−

 アンケート結果から:佐賀県公立学校の多くの校長や教諭は発達障害(学習障害(LD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、高機能自閉症等)を学校の教育課題としてあげている(図1、2参照)。また不登校児童生徒の問題についても多くの教育課題としてあげている。不登校の児童生徒の場合、社会・心理的側面に加え、自律神経失調症などの心身症を起こしていることが多いため、医学的側面からも教員が状況理解することが必要である。そして、発達障害のある児童生徒が起立性調節障害(心身症の一種)を起こしたり、心身症の児童生徒に学習障害が確認されたりするなど、この2つは密接に関係していると思われる。そこで、これらの教育課題の解決に貢献するためは、発達障害と心身症の両方について、医学・心理・教育の高度な知識と対応力や指導力をもつ教員の養成が必要となった。

(教諭対象アンケート)佐賀大学文化教育学部と佐賀県教育委員会との連携協力事業
「教員養成アンケート」(平成18年6月実施)の結果の一部

 特別支援学校のセンター的機能:佐賀県の特別支援学校(旧、盲・ろう・養護学校)の7校は、平成17年度に佐賀県の全小・中学校に巡回相談員を派遣した。また、「平成18年度LD等のある幼児児童生徒への教育支援体制整備状況調査結果について(通知)」(文部科学省、平成19年3月2日)によると、平成18年度は佐賀県公立学校の約70%が巡回相談員の派遣を要請しており、全国平均(約60%)を上回っている。佐賀県の特別支援学校のセンター的機能は全国的に高い水準にある。しかし、特別支援学校の教員の多くは障害の程度としては軽い発達障害や心身症のある児童生徒の指導経験が乏しいため、巡回相談を担っている一部の教員に負担がかかっているのが現状である。
 LD、ADHD通級指導教室の設置:佐賀県では昨年度、LD、ADHD対象の通級指導教室が小学校3校、中学校1校に、本年度は6つの学校に設けられた。佐賀県の通級指導教室は言語障害対象の教室が多いが、これらの教室でもLDやADHDと思われる児童生徒を多く受け入れてきた。言語障害通級指導教室に通う児童数は、平成15年度は239名であったが、その3年後の平成18年度は306名となり(内、LD等対象通級指導教室通級児童生徒数は34名)、約70名増加した。通級指導教室希望者は、年々増加する傾向にある。しかし、発達障害や心身症に関する高度の専門的知識や指導力をもつ教員の数はまだ少ない。
佐賀県の主たる教員養成機関である文化教育学部と教育学研究科は、特別支援学校や通常の学校で、発達障害や心身症に対応できる教員の養成の充実を図る必要がある。

(2)佐賀大学の取り組み−文化教育学部と医学部附属病院との密接な連携−

 文化教育学部と医学部附属病院は、平成17年度に「佐賀大学 発達障害支援・研究プロジェクト」を立上げて以降、密接な連携を進めてきた。昨年度同病院は約40名の発達障害や心身症の新しいクライエントに対応し、文化教育学部教員が小児科病棟で約30名の児童生徒に心理検査を行い、保護者教育相談を実施した。このような連携の他、学校からの緊急連絡を受けて、文化教育学部教員がまず児童に対応し、次いで医学部小児科で診断し、大学のアドバイスのもと、以後、支援児在籍校で支援体制がとられたケースもあった。
その一方、医学部附属病院で共同カンファレンスを月1回行ってきた。そこでの議論で、次の課題が改めて確認された。課題1.数名の教員では心理検査や教育相談への対応に限界があること。課題2.医学部附属病院での薬物療法だけでは限界があり、学校で発達障害や心身症のある児童生徒に対応、指導できる教員の養成が急務であること。課題1については、文化教育学部附属教育実践総合センターの教育相談体制を強化すること、そして、課題2については、発達障害や心身症のある児童生徒を対象とする実習を実現し、それをコアとして、学部と大学院のカリキュラムを再編することとした。

4)具体的な取組

(1)この取組が目指すもの
 「発達障害と心身症への支援に強い教員」を養成するため、以下の教育の目標のもと学生教育を進めつつ、カリキュラム開発等を行う。
 a.教育の目標
 ○実践に基づいたより深い理解力の形成:講義・演習で習得した、障害や精神的疾患についての理論的な知識をふまえ、様々な状態を示す児童生徒に直接接することにより、具体的でより深い理解を図る。
 ○特別な教育的ニーズのある児童生徒に対する対応力と指導力の向上:医学的判断、行動観察・心理検査の結果に基づき「個別の指導計画」(目標・指導法・評価法等により構成)を作成し、根拠に基づいて対応、指導できる能力を養成する。
 ○チームワーク力の形成:支援の必要な児童生徒にチームとして対応、指導することを常に求め、自制・協力・創造の精神を培い、教員としての連携力を養う。
 ○特別支援教育コーディネート力の形成:保護者や学校関係者や福祉・医療等の関係機関と連絡調整を図りつつ、「個別の教育支援計画」を作成し、一貫した教育的支援を行うためのコーディネート力を養成する。
 b.「臨床教育実習をコアとする学部・大学院連携カリキュラム」の開発
 学部、大学院科目をそれぞれ「理解科目群」、「スキル科目群」、「実習科目」に3類型化する。理解科目群では障害や精神的疾患に関する既設の心理や教育の科目を見直す他、小児神経医学と小児心身医学に関する教育の充実を図る。スキル科目群には学習支援法、行動改善法、心理カウンセリング法に関する科目の他、「個別の指導計画」や「個別の教育支援計画」の作成法に関する科目を設ける。実習科目には「臨床教育実習(大学施設実習)」と「臨床教育実習(学校実習)」を設け、年度をまたぐ通年履修とする。カリキュラム開発を進めつつ、特別支援学校教育実習との整合性を図る。
 c.評価法の開発
 臨床教育実習の履修前に、基本的な知識の習得状況を評価するほか、医学教育におけるOSCE(Objective Structured Clinical Examination;客観的臨床能力試験 通称オスキー)を参考に、特別な教育的ニーズのある児童生徒に対する「基礎的対応・指導力の準備性評価テスト」を実施する。準備性の低い学生には実習を履修させない。また、文化教育学部教育実習委員会と共同し、到達度評価基準を開発し、実習中・実習後に学生の対応力と指導力の向上を客観的に評価し、フィードバックする。

(2)臨床教育実習について
 a.定義

 様々な障害や精神的疾患を有する児童生徒を対象に、医学・心理・教育の諸側面からの判断のもと、個別の指導計画を作成し、指導する実習のこと。現在、発達障害と心身症に焦点を当て、臨床教育実習の在り方やカリキュラムの検討を行っている。なお、発達障害や心身症対象の実習では、個別の指導に留まらず、支援児在籍校での適応の促進までを実習の範囲としている。
※なお、本取組では、臨床教育実習対象の児童生徒を「支援児」と呼んでいる。
 b.支援児の抽出
 医学部附属病院で診断された児童生徒の中から、同病院医師、文化教育学部及び附属特別支援学校教員による検討によって支援児を抽出した後、まず支援児在籍校の意向を確め、次に保護者に協力を依頼する。支援児数は実習期間中(1年間)、4、5名を目途とする。
 c.履修対象
 学部の障害児教育選修の3年生、教育学研究科障害児教育コースの1年生の他、特別支援学校教諭免許状の取得を目指す学生や実習履修希望の学生を対象とする。
 d.臨床教育実習の形態と目的 (学部・大学院の連携科目)
 本実習は「大学施設実習」と「学校実習」の二段階によって構成する。
 ア.「臨床教育実習(大学施設実習)」の目的
 「個別の指導計画」の作成力とそれに基づく指導力を養成する。個々の支援児の教育的ニーズにあった個別・小グループ指導を行い、学習力や社会適応力の成長を図る。
 イ.「臨床教育実習(学校実習)」の目的
 学生が大学施設実習で担当した支援児の在籍校に出向き、個別・小グループ指導により支援児が習得した学習力や社会適応力を、支援児自らが在籍校で発揮できるように、学級担任等と協力しつつ支援する力を養成する。
 e.学生教育体制−医学部附属病院・文化教育学部・附属特別支援学校等の連携−

医学部附属
病院医師
・支援児講座(下記参照)で支援児に関する医学的説明
・共同カンファレンス(下記参照)で、医学的側面に関する質問への応答
文化教育
学部教員
・発達障害や心身症に関する医学・心理・教育の専門的知識の講義
・支援児講座で支援児に関する心理・教育の面からの説明
・支援児の「個別の指導計画」と教材等の作成指導
・臨床教育実習の全期間中での臨床教育演習(下記参照)の実施
・「臨床教育実習(学校実習)」期間中、支援児在籍校に出向き学生指導
附属特別
支援学校
教員
・支援児の「個別の教育支援計画」の作成指導
・「臨床教育実習(学校実習)」期間中、支援児在籍校に出向き学部教員と共に学生を指導
非常勤の
専門家
・学習支援、行動改善支援、心理カウンセリングに優れた実績をもつ専門家による実践的スキルに関する特別講座の実施


 f.臨床教育実習の展開(平成19年4月〜20年8月で1サイクル、以後継続)
 ア.講義での専門的な知識の教育(4〜7月 現行カリキュラムでの対応)
・学部関連科目:「障害児教育」(2年前期、履修済み)、「教育相談心理学」(2年後期、履修済み)、「個別指導計画作成演習」(3年前期、履修中)
・教育学研究科関連科目:「障害児心理学特論?」(1年前期、履修中)、「教育相談心理学特別演習」(同、履修中)、「教育方法学特論」(同、履修中)
 イ.臨床教育実習計画会議の開催(7月)
県・市教委、支援児在籍校、佐賀県教育センター、親の会との連携体制の構築、大学施設実習から学校実習への支援継続のための「個別の教育支援計画」作成
 ウ.支援児講座(7月下旬〜9月末、実習を履修する学部・大学院学生対象)
・医学部附属病院医師による支援児についての医学的説明
・文化教育学部の教員による支援児の心理検査結果と教育的側面の説明
・佐賀県教育センター等から実践的指導に優れた専門家を招き特別講座の開催
・親の会の保護者による学生向け講話の設定。使命感と教育愛の涵養
・教員の指導のもと、「個別の教育支援計画」の作成演習
・教員の指導のもと、支援児ごとの「個別の指導計画」や教材の作成
・ロールプレイング等による「基礎的対応・指導力の準備性評価テスト」の実施
 エ.臨床教育実習(大学施設実習)(10〜1月)
・支援児ごとに大学院生をリーダーに学部生3名の支援チームを4又は5に編成する。
・学習支援、行動改善支援、心理カウンセリングを実施する。
・10〜1月期土曜日の午前中、大学のプレイルームや教育相談室で学生が指導を実施する。
・直接指導24時間(2時間×12セッション)、準備と反省に36時間の計60時間とする。
・実習担当教員5名の直接指導の下、準備と反省を「臨床教育演習」として行う。
・支援児たちの社会的行動を撮影・解析し、社会適応力の成長を評価する。
・本学e-Learningシステムを使って支援児在籍校に指導の映像と音声を配信し、大学と学校が指導法について細かなコミュニケーションをとれるようにする。
・定期的に共同カンファレンスを開催。各支援チームは状況を報告し、指導法改善のために情報交換を行う。また、支援児との係わりの中で気になった身体・生理学的なことを予め集約しておき、医学部附属病院の医師より説明をうける。カンファレンス参加者は、大学、県・市教委、支援児在籍校の教員等とする。
 オ.第1回臨床教育実習連携・外部評価委員会の開催(3月)
「臨床教育実習(大学施設実習)」終了後開催。支援児の改善・成長のアセスメント結果や学生の対応力・指導力の到達度評価結果や学生アンケート結果を基に外部評価を受ける。「臨床教育実習(学校実習)」の計画を作成する。
 カ.臨床教育実習(学校実習)(4〜7月)
・学生が大学施設での実習で担当した支援児の学校へ出向く。4〜7月に学生1人あたり週1回各4時間の計60時間とする。
・支援児が大学施設実習の個別・小グループ指導で習得した学習力や社会適応力を在籍校でも発揮できるように学級担任等と協力して支援するとともに、支援児が学びやすい授業方法の考案と支援児に最適な学校環境づくりを行う。
・「臨床教育演習」の実施と共同カンファレンスの開催する。
 キ.第2回臨床教育実習連携・外部評価委員会の開催(8月)
「臨床教育実習(学校実習)」終了後開催。1年間の臨床教育実習での支援児の改善・成長のアセスメント結果や学生の対応力・指導力の到達度評価結果や学生アンケート結果を基に、関係団体の他、発達障害や心身症に関する外部の専門家を招き、外部評価を受ける。そして、支援児の今後の支援方針を検討する。

5)実施体制(評価体制含む)

 マネジメント体制:学長、役員会、教育研究評議会の下に教員養成カリキュラム委員会(委員長は教育担当理事)を置き、全学の教職課程の質的向上のための方針を策定している。この委員会と連携しつつ、文化教育学部教職課程運営委員会は同実習委員会と共同し教員養成カリキュラムの再編を行っている。「臨床教育実習推進委員会」はこのような全学・学部の委員会の下にあり、教育実践総合センターが実務を担当している。
 臨床教育実習推進委員会の主な課題
(1)臨床教育実習の教育体制・内容・方法・評価法の検討。
(2)同実習実施のための県・市教委、支援児在籍校、佐賀県教育センター、親の会との連携。
(3)「臨床教育実習をコアとする学部・大学院連携カリキュラム」原案作成。
 教員の体制:本推進委員会は、文化教育学部の教育学・教育心理学講座と教育実践総合センターの教員(13名)、人間環境講座の障害児福祉担当教員(1名)、医学部附属病院医師(3名)、附属特別支援学校教員(4名)で構成する。
 地域との連携:「臨床教育実習連携・外部評価委員会」を設置。県・市教育委員会、支援児在籍校、佐賀県教育センター、親の会に参加を求め、連携を図る

【実施スケジュール】 (☆印はカリキュラム開発関連事項)

1.4〜7月
・現行カリキュラムによる学生教育
・臨床教育実習計画会議の開催
☆現行カリキュラムの課題整理

2.7〜9月
・支援児講座

3.10月〜1月
・臨床教育実習(大学施設実習)
☆新カリキュラムの基本コンセプトの形成

4.3月
・第1回臨床教育実習連携・外部評価委員会開催
☆新カリキュラムの科目とシラバスの作成

5.4〜7月
・臨床教育実習(学校実習)
・次の臨床教育実習に向けての臨床教育実習計画会議の開催
☆文部科学省への新カリキュラムの課程認定申請(予定)

6.8月
・第2回臨床教育実習連携・外部評価委員会開催
臨床教育実習を毎年継続実施

6)この取組に対する評価方法

学生評価:本学の授業評価アンケートによる学生評価と学生の意見等をもとに臨床教育実習推進委員会で改善を図る。

外部評価:「臨床教育実習(大学施設実習)」及び「臨床教育実習(学校実習)」の終了毎に「臨床教育実習連携・外部評価委員会」を開く。

(2)取組の特色

a.教員養成学部と医学部附属病院との連携のもとに教員養成を行うこと。

b.個別・小グループ指導で支援児が習得した学習力や社会適応力を、支援児自身が在籍校で発揮できるよう支援することまでを実習の範囲としていること。

c.支援児在籍校の教員の対応力と指導力の向上も大いに期待されること。

d.臨床教育実習の履修前に基礎的対応・指導力の準備性を評価し、実習中及び実習後において学生の対応力・指導力の到達度を評価すること。

e.いくつかの大学でも支援のため学校に学生を派遣している(仮に「派遣方式」という。)。平成18年度試行の発達障害大学院教育実習でも後期に学生が小学校に16回、中学校に7回終日参加した。しかし、支援児と一緒に遊ぶことで学生の対応力は伸びたが、学習指導などの指導力の養成は十分ではなかった。そこで、臨床教育実習では、先ず支援児を大学に招き(「来訪方式」という。)、そのニーズにあった緻密な指導を通して学生に実践的知識やスキルを身に付けさせ、次に学校実習では支援児が習得した学習力や社会適応力を在籍校で発揮できるよう学生に支援させることにした。つまり、支援児の教育的ニーズを軸に「来訪方式」と「派遣方式」を有機的に連結したことがこれまでの事例と異なる点である。

(3)取組の有効性

a.発達障害や心身症のある児童生徒の指導では、通級指導教室など「特別な場での指導」で得た学習力や社会適応力を、支援児自身が在籍校で発揮できることが課題である。本取組は、この課題の解決を支援できる力を学生に養成することを実習の最終目標としており、本学の特別支援学校教諭免許状取得者の実践力に質的な保障を与えるものである。

b.「基礎的対応・指導力の準備性評価テスト」開発は、他の教育実習でも有効である。

c.この取組は、「教員養成学部と医学部附属病院との学生教育のための連携モデル」を全国の大学に提示するものであり、また特別支援学校の教員養成の充実だけに留まらず、文化教育学部と教育学研究科の発展に繋げていくものである。

(4)関係団体等との連携方法

関係団体
連携内容
目指す効果や成果
佐賀県教育委員会 連携・協力事業の一環としての臨床教育実習への協力 発達障害や心身症への支援に強い教員の確保
支援児在籍校を所管する市町教育委員会 支援児在籍校との連絡調整 地域の拠点校の確保・整備
支援児在籍校 ・支援児講座における支援児の
学校・学級での様子の説明
・「臨床教育実習(学校実習)」における学生の受け入れ
・在籍校での支援児の適応の促進
・特別な教育的ニーズのある他の児童生徒に対する教員の対応力・指導力の向上
佐賀県教育センター 非常勤講師としての職員の派遣 大学とセンターの連携強化
親の会 支援児講座で、保護者の不安や希望及び家庭での対応等について学生へ講話 特別な教育的ニーズのある児童生徒に関する高度の知識や対応力・指導力のある教員の養成への期待

(5)取組の経過や成果等に関する情報公開の方法

○公開シンポジウム等を開催する。

○報告会に県・市教育委員会等関係団体の参加を保障する。

○開発した教材等をホームページで公開する。

○臨床教育実習履修に向けての「理解編」「スキル編」の教科書の編集を行う。

○院生に対し、『発達障害の支援と研究』(前出)への論文発表を奨励する。

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